屋根の葺き替え費用について
屋根の葺き替えにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは屋根材ごとの葺き替え費用に加え、葺き替え時期の目安などについてご案内します。ただし、費用については原材料価格や世界情勢によって変動することを予めご了承ください。
目次
屋根材ごとの費用
屋根の葺き替え費用は、葺き替える屋根材によって変動します。ここではスレート(大波、小波含む)、ガルバリウム鋼板(金属屋根)、トタン、瓦、その他の屋根材の葺き替え費用や内訳をご案内します。屋根葺き替えを検討するにあたって費用は極めて重要な判断材料ですが、費用以外にも耐用年数や色味、見た目なども加味して総合的に判断する必要があります。費用の安さばかりを重視せず、長期的な視点に立って適切な屋根材を選びましょう。
スレート(コロニアル)
- 葺き替え費用
- 約4,500円~8,000円(1㎡あたり)
スレートはセメントなどでできた板状の屋根材で「コロニアル」や「カラーベスト」などとも呼ばれます。瓦の半分ほどの重さしかないため建物にかかる負担が少ないのが長所です。加えて大波、小波など用途に応じて形状も多いため、新築や葺き替え工事の際、幅広く使用されています。スレートは人工スレートと天然スレートに大きくわかれ、主にセメント繊維でつくられた人工スレートは化粧スレートとも呼ばれます。軽量かつコストパフォーマンスの高さから多くの住宅で使用されています。一方、天然スレートは天然の石を使用しているため人工スレートと比べると重量があり、価格も高くなりますが、デザインが豊富です。スレートの寿命はおよそ10年~15年ほどといわれ、塗装を含めたメンテナンスをせずに15年ほどが経過している場合は、葺き替え工事も視野に入れたほうが良いでしょう。
ガルバリウム鋼板(金属屋根)
- 葺き替え費用
- 6,000~9,000円(1㎡あたり)
ガルバリウム鋼板は金属素材でつくられた屋根材で、鋼板がメッキで覆われているのに加えアルミニウムや亜鉛、シリコンが使用されているため、錆びにくいのが特長です。ガルバリウム鋼板はトタンの約4倍、錆に強いとも言われます。高い防錆性能に加え、屋根材の中でも軽量であるため地震にも強いのがメリットです。また、ガルバリウム鋼板の耐用年数は30~40年と長期にわたります。ただし、建物が海沿いにあり、潮の影響を受ける場合などは20年も持たないケースが度々あります。いずれにしても定期的なメンテナンスが大切で、塗料の耐久性にもよりますが、10年~20年、できれば15年に一度は塗装リフォームを行いましょう。ガルバリウム鋼板の状態によってはお早目の葺き替えをおすすめします。
トタン
- 葺き替え費用
- 5,000円~10,000円(1㎡あたり)
かつては国内の屋根に広く使用されていたトタンですが、耐用年数が6年~10年ほどと耐久性に乏しいことから現在では住宅ではなく物置や小屋といった建物に使用が限定されつつあります。流通量が減ったため価格も下落傾向にあります。価格が安いのは大きな魅力ですが、トタン屋根を葺き替える際は、再びトタンを使用するのではなく、スレートや瓦への葺き替えをおすすめします。
セメント瓦
- 葺き替え費用
- 約6,000円~8,000円(1㎡あたり)
瓦屋根は他の屋根材を大幅に上回る耐久性を有します。重量があるため大きな地震が発生した際は屋根や建物に大きな影響が及ぶ可能性がありますが、長い耐用年数やメンテナンスの手間が少ない点などを考えると、瓦は優れた屋根材といえます。葺き替え工事の価格は他の屋根材よりも高額になる可能性がありますが、粘土瓦ではなくセメント瓦やコンクリート瓦を使用すれば費用は抑えられます。セメント瓦やコンクリート瓦は遮音性や断熱性にも優れているのも特長です。耐久性の高い瓦ですが、もちろん何もメンテナンスしなければ劣化は進行します。ひび割れやズレなどを放置したままでいると、屋根の内側も劣化させてしまう恐れがありますのでお早目の対策をおすすめします。
その他の屋根材
その他の屋根材としては、「メトロタイル」「メトロローマン」などと呼ばれるタイルの屋根材があります。メトロタイルは洋瓦をイメージしたデザイン、仕上げとなっており美観に優れます。葺き替えの費用相場は1㎡あたり約1万2,000円~1万4,000円程度です。また、自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)は、ガルバリウム鋼板に石粒をコーティングした屋根材です。防音性が低く、傷みやすいのが難点のガルバリウム鋼板ですが、表面に天然の石をコーティングすることで、傷むデメリットをカバーしています。葺き替えの費用は1㎡あたり7,000円~1万2,000円程度と通常のガルバリウム鋼板より高額ですが、機能性を重視したい方におすすめです。アスファルトシングル(グラスファイバーシングルとも)はシート状で加工しやすく、色々な形状の屋根に合います。耐用年数は20年~30年程度と比較的長期にわたりつつ、費用は約5,000円〜6,000円とコストパフォーマンスの高い屋根材といえます。ただし、一部のアスファルトシングルは釘を使用せず接着剤で張り付けるシート状になっているため、台風などの強い風が吹き付けると剥がれてしまったり、薄くて軽いため経年で傷んでくると風にあおられて破れたり剥がれたりしてしまうことがあります。そのため雨漏りが懸念されますが、アスファルトシングルそのものの破損は雨漏りの直接的な原因にはなりません。というのもアスファルトシングルの下にはルーフィング(防水紙)が敷かれているため、雨漏りはルーフィングの破損によって生じることがほとんどです。
屋根葺き替えの時期
屋根の葺き替え工事は何年くらいを目途に行うのが良いのでしょうか。ここでは、耐用年数が「10年未満」「10年~20年未満」「20年~30年未満」「30年~40年未満」「40年以上」に相当する屋根材をご紹介します。
10年未満
耐用年数が10年未満の屋根材としてはトタンがあります。ただし、こまめに破損個所を改修、補修したり、定期的に塗装されているトタンは10年、さらには15年~20年近く長持ちすることもあります。住宅には不向きですが、今なお小屋や納屋、物置などに多用されています。
10年~20年未満
耐用年数が10年~20年未満の屋根材にはスレート(カラーベストなどとも)があります。スレートは素材の特性からひび割れが起きやすい素材です。ひび割れがあった場合は、変性シリコーンやシーリング材などを充てんして補修します。ひび割れが小さければ接着剤による補修で済みますが、ひび割れが大きな場合は、欠けた部分の交換が必要です。スレートは下層部分から順番に張られているため、一部分のみを外すことができません。そのため交換部分を切り取って新しく上張りします。このようにスレートはひび割れが小さければ補修にそれほどの手間はかかりませんが、大きくなるとコストがかかります。したがっていかに早い段階でひび割れを見つけるかがポイントとなりますが、ひび割れは下から見上げてもなかなか見つかりません。定期的に専門業者に検査を依頼することをおすすめします。
20年~30年未満
耐用年数が20年~30年未満の屋根材としては、アスファルトシングルなどがあります。アスファルトシングルは釘とセメントの接着材を使って固定していきますが、接着材や圧着が不足しているとそこから剥がれてしまいます。釘で固定されているので、屋根から完全に剥がれ落ちることは稀ですが、柔らかい屋根材ですので剥がれた状態で風に煽られ続けるとちぎれてしまうことがあります。したがって台風や災害などで強風にさらされた後は、目視でいいので点検するようにしましょう。また、アスファルトシングルはその表面に天然砕石や彩色砂が貼り付けてありますが、この石粒は工事の時に剥がれる事を考慮して多めにつけられたものなので、施工後1年~2年ほどで屋根から落下してきます。その後、落下は止まりますが、劣化が進むと石粒が層となって剥離します。そうなると下地(野地板)のフェルト紙も露出してしまうので、屋根材としては限界です。石粒の剥離を防ぐには、屋根塗装も有効です。下地木材の劣化がなければ、屋根を一新するよりも新しい屋根を重ねるカバー工法が良いでしょう。カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根を被せるため、廃材がほぼ発生しません。したがって廃材処理費がほぼ発生しないコストパフォーマンスの良い工法と言えます。
30年~40年未満
耐用年数が30年~40年未満の屋根材としては、ガルバリウム鋼板などがあります。ガルバリウム鋼板の劣化は、錆びからはじまり、そこから穴が空くのが一般的です。とはいえ、錆のメンテナンスを正しく行い、穴さえあかなければ40年以上の耐久性も十分に期待できます。ただし、傾きが緩いガルバリウム鋼板の屋根は、急こう配の屋根よりも耐用年数が短くなる傾向があります。理由は水溜りができやすいからで、水溜りができるとガルバリウム鋼板の腐食スピードは10倍になるとも言われます。そのため、2寸を下回る低勾配の屋根は日ごろからガルバリウム鋼板の錆びのチェックが必要です。
40年以上
耐用年数が40年以上の屋根材としては、瓦があります。和瓦、洋瓦のいずれも高い耐久性を持ちますが、特に和瓦であれば50年、さらには60年以上寿命が延びることも珍しくありません。50年以上の耐久性を誇る和瓦とはいえ、もちろん注意は必要で定期的なチェックが欠かせません。たとえば、棟瓦のチェックです。屋根の面と面が重なる頂点部分の瓦、いわゆる棟瓦が歪みなく真っ直ぐかどうかを確認してください。少しでも歪んでいた場合は要注意です。次第に歪みは大きくなり、最後は崩れてしまいます。また、雹が降ったり、強風による飛来物が屋根に当たったり、アンテナが倒壊した場合などは、瓦が割れるといった事態が起こります。瓦が割れると破損部分から雨水が浸入し、雨漏りにつながります。瓦と瓦の隙間を埋めている漆喰にも注意が必要です。漆喰が剥がれたり、崩れていたりすると、その部分から雨水が浸入するだけでなく、瓦を固定している力が弱くなるため、ちょっとした雨風や地震でも瓦が落下してくる危険性が高まります。ベランダや庭先で、いびつな形の白いコンクリート片のようなものを見つけたら剥がれた漆喰の可能性が高く、そうした場合は漆喰の詰め直しが必要です。漆喰の耐用年数は20年程度とされ、徐々にひび割れや剥がれが起こります。新築から20年程度が経過し、一度も詳しく点検されていない方は専門業者にご相談ください。
屋根葺き替えと雨漏り
屋根の葺き替えは雨漏り対策に極めて有効で、葺き替えによってほとんどの雨漏りは解消します。しかし、大切なのは雨漏りに至らぬように日頃から屋根に破損箇所が無いか、瓦のズレが無いか、変色していないか、コケやカビが生えるといった症状はないか、などと屋根を気にかける事です。天井に雨染みが見られてからでは時すでに遅しで、ひとたび雨漏りしてしまうと、台風や大雨が降ると生活そのものに大いに支障を来します。さらに、応急処置と本格的な改修工事には下地木材の補修、防水紙の敷設などを含めて一定以上の費用がかかるうえ、工事中は大変な不便を強いられます。そうならないためにも屋根に注意を払う意識が大事といえるでしょう。また、雨だけでなく凍害も雨漏りの原因になりますので、家を守る対策が必要です。ほかにも天窓がついている場合は、天窓の破損箇所からも雨漏りする可能性があります。
アスベストを使用している屋根の葺き替え
アスベスト(石綿)は発がん性物質を含むことなどから現在、使用、流通が全面的に禁止されています。しかし、石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止になったのは2004年であるため、それ以前に建てられた家屋にはアスベストを含む建材が使用されている可能性があります。屋根部分にアスベストが使用されている場合、葺き替え工事には徹底した養生と適切な処置が求められるため、特別な処理、処置費用が加算されます。屋根にアスベストが含まれているか否かは専門業者にご相談ください。ちなみに屋根材のうち、アスベストを含んでいる可能性があるのは、スレート(カラーベスト・コロニアル)と粘土瓦以外の瓦やセメント瓦などです。瓦のなかでも釉薬(陶器)瓦、素焼き瓦、いぶし瓦にはアスベストは含まれていません。アスベストを含むスレート屋根の場合、アスベストが含有されている屋根材を完全に撤去してしまう屋根葺き替え工事、もしくはアスベスト含有の屋根材を覆ってしまう屋根カバー工法のいずれかの工事となります。葺き替え工事の場合、既存の屋根を撤去しますので廃材処理費用がかかるのに加え、アスベストの取り扱い資格を持った専門業者でなければ施工できません。ちなみにアスベスト含有の屋根の撤去代金は1平方メートルあたり3,000円~5,000円、処分費用3万円~5万円、足場代金約15万円~20万円、そのほか養生代などを合計すると、一般的な延べ坪数の住宅で約50万円~100万円ほどです。
屋根の葺き替えで発生する既存屋根の撤去について
屋根を一新する工事の場合、既存の屋根材を撤去する必要があり、撤去費用が生じます。撤去費用は使用している屋根材によって開きがあります。瓦の場合、桟木や下地(防水紙・野地板・垂木)材を敷く工賃を含めると1㎡あたり約2,000円です。また、スレートの撤去費用は1㎡あたり約2,000円〜3,000円程度ですが、アスベストを含んでいる場合は上乗せとなります。一般的な坪数の家屋の屋根であれば、屋根材の撤去費用は約12万円~15万円です。そのうえで撤去した既存屋根や廃材の処分費用が加算されます。処分費用は1トンあたり約1万2,000円程度ですが、産廃の費用は地方によって異なりますので、自治体などにご確認ください。加えて屋根材を撤去する際に足場を組むため、足場代が1㎡あたり約1,000円〜1,500円ほどかかります。これらに諸経費が約5%〜10%ほど加算され、諸経費は業者によって異なります。
屋根の葺き替え工法
屋根の葺き替え工法は大きく分けて2つあります。既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせる重ね葺き工事(カバー工法)と、既存の屋根を撤去し、新しい屋根を葺く葺き替えです。重ね葺き工事と葺き替えの工法の特長や費用などについてご紹介します。
重ね葺き工事(カバー工法)
重ね葺き工事は、古い屋根はそのままにして上から新しい屋根をかぶせる工事です。かぶせることから、「カバー工法」とも呼ばれます。重ね葺きは、葺き替えとは違い、古い屋根の撤去作業が発生しないので、その分の費用を抑えられます。重ね葺き自体の費用は約100万円~160万円前後で、さらにこちらに足場の値段も追加で発生いたします。暑い夏に屋根が太陽光線の熱を吸収すると、室内の温度が上昇します。しかし、重ね葺きをした屋根は、古い部分と新しい部分の二層構造となり断熱性が高まるため、暑さ、寒さが屋内に伝わりにくくなる場合もあります。また、雨音などを遮る遮音・防音効果も期待できます。ただし、重ね葺き工事をするには条件があり、新しい屋根の土台となる下地に腐食などが無いかが重要です。なお、重ね葺き工事は、洋瓦や日本瓦の場合は施工できませんので、その場合は塗装あるいは葺き替えの選択となります。また、重ね葺きは、新しい屋根材をかぶせる工事なので、既存部分のキズや経年劣化を抜本的に直すものではありません。したがって、屋根の下地が腐り始めていた場合は、重ね葺き完了後も劣化が進行する危険性があります。
葺き替え
葺き替え工事は、屋根工事のなかで最も大規模なもので、費用総額は約140万円~200万円+足場の費用が発生するので高額になります。葺き替えは、屋根材を全て新しいものに変えて葺く工事で、屋根材全体の経年劣化、屋根材の広範囲に及ぶ破損、屋根材に加え下地も傷んでいる場合などは、葺き替え工事となります。葺き替え工事では、屋根を全て撤去しますので、下地部分が完全に見える状態となります。そのため、劣化の状況を把握しやすくなる上、しっかりとした補修、修理が可能となります。また、既存の屋根材が瓦屋根などの重いものであれば、軽量の屋根材に切り替えることもできます。結果、建物全体への負担が軽減され、耐久性が高まります。葺き替えは、多額の費用がかかりますが、その効果は大きいといえるでしょう。ただし、工期は1〜2週間程度と長く、撤去時の騒音が発生するとともに、工事中は少なからず生活に支障が及びます。また、アスベストが含まれている屋根材を撤去処分する場合は、処分費や解体撤去費が高くなります。撤去の際にアスベストが飛散するようなことがあってはなりませんので、業者との話し合いを必ず実施するようにしてください。
セメント瓦の屋根葺き替え
セメント瓦は耐用年数が約30年と、一般的な陶器瓦に比べ短命です。そのため、新築の戸建て住宅の屋根材にセメント瓦が使用される機会はめっきり減りましたが、葺き替え時期を迎えたセメント瓦葺きの戸建て住宅は国内に多数あります。経年劣化したセメント瓦は割れやヒビが発生し、台風などの強風時にカケが飛散するリスクが高まりますので、養生シートをかぶせるといった応急処置ではなく早めの本格的な対策が必要です。セメント瓦葺きのリフォーム方法は他の屋根材同様、「塗装」と「葺き替え」の2つの工程がありますが、断然、葺き替えがおすすめです。というのも、セメント瓦は重量があり、不具合も発生しやすいので、繰り返し行う「塗装」より「葺き替え」の方が明らかに費用対効果の面で優れているからです。前述したとおり、瓦が割れるといった症状が確認された場合は、早めの葺き替え工事が必要です。また、セメント瓦は軽い上にメンテナンス性能が良い金属屋根(ガルバリウム鋼板など)への葺き替えが主流となっています。また、一部のセメント瓦には、耐久性能を高めるためにアスベストが含有されています。その場合、葺き替え時にはアスベスト処分費用が発生し、高額になるケースもあります。
屋根葺き替え時の足場の費用
屋根の葺き替え工事費用には仮設足場の費用が加算されます。仮設足場の費用は架面積(足場の外側の面積)でおおむね決まります。高さが2m未満の屋根修理工事、高所作業車を使った屋根修理工事、平坦で勾配のない屋根修理工事、足場の設置が困難な屋根修理工事といった一部の例外を除いては、仮設の足場が必要となります。足場を組むことで、作業員や職人の安全が確保されるほか、飛散防止ネットで養生できるため近隣住民の皆様とのトラブルを回避できます。足場がないと飛散防止ネットを設置できないため、高圧洗浄による水しぶきや塗料の飛散、ホコリが隣の家屋や車などを汚してしまいます。さらに足場は職人の作業効率や仕上がりのクオリティにも影響します。特に屋根の塗装は下塗り・中塗り・上塗りと3回塗料を均一な厚さで塗らなければなりませんので、繊細さと集中力が求められます。足場がないと、意識がどうしても足元に向いてしまい、ムラが出たり細かいところまで丁寧に塗装するのが難しくなります。すると、作業効率が落ちて工期が延び、結果的に工事費用が高くなるといった悪循環になりますので、足場は必ず設置するようにしましょう。足場の費用を抑えるには、相見積もりを取って足場工事の相場や内訳をチェックすることが重要です。
耐久性・断熱性の高い屋根材への葺き替え
「耐久性や断熱性の高い屋根材に葺き替えたい」といったニーズが高まっています。耐久性の高い屋根材は前述のとおり、和瓦やガルバリウム鋼板などいくつかありますが、断熱性もあわせもつ屋根材としては、日本瓦があります。日本瓦はほかの屋根材に比べ特に高い断熱性能を有しており、温暖化とあいまってその性能が見直されています。ただし、日本瓦は重量があるため耐震性や強度の確保に十分な注意が必要なのに加え、大変高価な屋根材ですので費用はかさみます。そのほか、断熱性を高めるための工事としては、断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム、屋根のカバー工法による断熱リフォーム、屋根の裏側に断熱材を充填するリフォームなどがあります。葺き替えのほかにも熱対策としては屋根表面にアルミ製遮熱シートを取り付けるリフォーム工事があります。薄いアルミ製の遮熱シートを屋根材と屋根下地(野地板)の間に敷き詰める工事で、屋根を剥がすことなく屋根の裏側から施工可能なタイプもあります。また、断熱塗料を屋根に塗装することも有効的です。既存の屋根を取り外す葺き替えではなく、既存の屋根の上に新しい屋根材をかぶせる、いわゆるカバー工法も屋根が二重になるため、断熱性を高める効果があります。一般的なカバー工法では、屋根の上にルーフィングと呼ばれる防水シートを直接敷き、その上を新しい屋根で覆います。費用は葺き替え工事費用に比べて安価ですが、安いからといって安易にカバー工法を選択すると、屋根が二重になり厚みが増す分、家の耐久性を損ねる恐れもあります。また、カバー工法を選択するときに最も注意しなければならないのが、屋根材の下の野地板や防水シートの劣化です。特に野地板の傷みや腐食がひどいとカバー工法は選択できません。カバー工法を選択するには、5年以内に雨漏りの点検が済んでいること、設置から25年未満の屋根材であることなどが条件となります。
屋根葺き替えの形状
屋根の葺き替え工事では、その形状によって施工の方法が異なります。ここでは主な屋根の形状である片流れ屋根、切妻屋根、陸屋根、寄棟屋根などの特徴やメリット、デメリットなどをご案内します。
片流れ屋根
片流れ屋根は一方向だけに勾配のある屋根形状です。直線的な形状になるため、外観がスタイリッシュな印象となります。ただ、片流れ屋根は定期的なメンテナンスを怠ると雨漏りしやすいとも言われます。片流れの雨漏り箇所で最も多いのが頂部の棟板金部分、ケラバ、そして軒先です。棟板金は片流れ屋根の最も高い部分に取り付けられており、屋根と外壁の取り合い部分が雨風に晒されやすい構造となっています。雨水の吹き込みも通常であれば雨仕舞で防げますが、外壁と屋根の取り合いが十分に施工されていないと伝い雨が屋内に浸入し、結果として雨漏りとなってしまいます。また、ケラバは雨樋が取り付けられていない斜辺のことですが、片流れ屋根のケラバは切妻屋根に比べ2倍の長さになります。ケラバは雨水を軒先に流す機能を果たしますが、伝い雨が2倍になれば雨漏りを起こす可能性もその分高くなりますので注意が必要です。
切妻屋根
切妻屋根は、屋根の最頂部の棟から地上に向かい、2つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状を持つ屋根です。いわゆる三角屋根と呼ばれ、国内だけでなく世界中でもっともポピュラーな形状といえます。片流れの屋根よりも建物の高さを低く抑えた安定した外観となります。住宅の平面形状が四角形の場合は2面だけで屋根が構成されるため、ローコストで雨漏りの心配が少ないといったメリットがあります。屋根のメンテナンスとしては、塗装、葺き替え、屋根カバー工法など、主な工事はいずれも問題なく施工できます。また、屋根材についても瓦、金属、スレート(コロニアル)、アスファルトシングルなど様々なものに対応可能です。塗装や屋根葺き替え、屋根カバー工事などの際、足場設置や施工がしやすいなどの理由から工事価格が他の屋根形状に比べ抑えられる傾向があります。一方、切妻屋根の棟の直角にあたる外壁、いわゆる妻は切り妻屋根の弱点ともいえる箇所です。屋根の張り出した部分が小さいので、日光が当たりやすく、さらには雨風にもさらされやすいことから、他の箇所よりも傷みやすく劣化が進行します。
陸屋根
陸屋根は傾斜の無い平面状の屋根で、平屋根とも呼ばれます。一般家屋はもとより、アパートやマンションなどでもよく見られる形状です。陸屋根はその平らな形状を活用して屋上設備を設置したり、洗濯物を干したりすることが出来るなど、様々な用途がある大変便利な形状です。一方、不具合が発生すると勾配がない分、雨が降ると溜まりやすく、雨漏りが発生しやすい形状であるともいえます。陸屋根は枡のように凹型になっており、降った雨が外壁を伝ってそのまま流れ落ちないようになっています。陸屋根にはパラペットと呼ばれる出っ張りが必ずあり、壁の役割を果たしています。また、パラペットの上部に被せてある仕上げ材、いわゆる笠木があります。ベランダやバルコニーの手すり壁上部に被せてある金属部材も笠木と呼ばれますが、陸屋根では床面だけではなく、パラペットや笠木の不具合が原因で雨漏りすることもありますので、チェックポイントとして欠かすことはできません。一般的に防水仕様の陸屋根の経年劣化は、紫外線や風雨などの影響を受けトップコートが劣化することから始まります。トップコートは7年ほどで色あせると同時に、塗膜の剥がれといった傷みが目立ってきます。長持ちさせて寿命を延ばすことができても10年程度ですので、7年~10年を目途に塗り替えるのがおすすめです。
寄棟屋根
寄棟屋根は頂上から軒先に向かって4方向に屋根の面がある構造で、一番頂上部にある棟を大棟といい、傾斜のある棟は隅棟や下り棟と呼びます。切妻のように大棟が一つの形状と比べ、寄棟は大棟と隅棟(下り棟)が合わせて5か所ありますが、棟は風などの影響を受けやすいうえ、屋根の面と面の接続部分が多いので、そこからの雨漏りに注意が必要です。寄棟屋根は、切妻屋根や片流れ屋根に比べると複雑な構造をしているため、新築やリフォーム、メンテナンスに手間や材料、工数、工程、日数がかかり、コストは割高になってしまう場合があります。ただし、耐久力が高い屋根形状のため、メンテナンスの回数自体は他の屋根形状よりも少なく抑えられることもあります。
その他の形状
上記のほかにも屋根の形状としては、屋根の1か所が頂点になっていて四角錘の形をした方形屋根、1階が2階部分と比べて広い家にみられる差しかけ屋根、屋根の上部に矢切りと呼ばれる壁があるデザインの入母屋屋根などがあります。それぞれの屋根の葺き替えやコーキング、シーリング、タスペーサーなどを含むメンテナンス方法、耐震性能、強度、熱性などについては工事業者におたずねください。
屋根の葺き替えはエイチプロスにお任せください
エイチプロスは、ケラバを含む屋根塗装や屋根の葺き替え、カバー工事、瓦交換はもとより、お住まいの大規模改修、モルタル、サイディングなどの外壁塗装、防水塗装、漆喰、モルタル、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics:FRP)、システムキッチン、バスルーム、トイレ交換、壁紙を張り替える工事、クリーニング、フルリノベーション、ベランダ、外装・外構・エクステリア、屋上・ベランダのウレタン防水補修など、あらゆる工事に対応いたします。破風や雨樋などの付帯工事もお任せください。廃材も責任を持って処理致します。当社は、実際に施工・管理を行う工事施工店ですので、中間マージンや紹介料などを一切頂くことなく、「低価格」と「高品質」を実現します。当社は創業以来、人材の育成に力を注いでおり、技術の資格取得や技能講習も積極的に行っています。結果、各種の資格を持つスタッフが多数在籍しており、社員一丸となって最高のサービス提供に取り組んでいます。また、当社は、国土交通大臣登録団体にも加盟中の優良塗装業者です。信頼、優良の証として、官公庁・行政・私立高などの塗装工事でも豊富な実績があります。万が一に備えた、リフォーム工事瑕疵保険や火災保険、返済期間が最長35年の「フラット35」なども詳しくご案内します。お支払いについても、リフォームローンがありますので無理なく月々の分割払いが可能です。ぜひリフォームローンをご利用下さい。ご契約後の完成シュミレーションも無料で承りますので、ぜひお申し付けください。当社は概算費用がどなたにでもわかるよう「外壁塗装オンライン見積り」を導入しています。建物要件を入力すれば、自動的に費用が算出されるシステムです。ぜひ一度ご利用ください。
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